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丸山正樹『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(文春文庫、2016) [本と雑誌]

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「初めての作家」をもう一冊。
何でも置いてあるような超大型店はともかく、理屈からいえばすべての本屋さんはセレクトショップなのだけど、その中でも特に、狭いお店に店主が選り抜いた本を並べているような、セレクトショップ型の本屋さんで求めた一冊だが、読みごたえのある内容。

一応ミステリーの体裁をとっているけれども(実際、ミステリーとしてもよくできた作品だと思うけれども)、ろう者やその家族のおかれた現実を理解するにはよい入門書でもある(「日本手話」と「日本語対応手話」の違いなど、本書で初めて知った事実も多い)。問題の所在が整理でき、それぞれの人々の立ち位置もよくわかるのですね。そして、主人公のような属性をもつ人が、「自分は何者なのか」と自問し、「敵か味方かとかどちら側とか、そもそもそういうことではない」という結論に至る過程もよくわかる。
特に、この主人公(と同じ属性をもつ人)でなければわからないことがら、とりえない行動などが描かれ、それが本書を説得的なものにしている。

そのため読後感は、根本的な問題が解決していない点では重く、しかし登場人物のそれぞれが階段を一段のぼって次のフェイズに進んだ点では日差しが差し込んでいるような明るさを備えており、作品全体の厚みともいえる余韻を醸し出している。


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