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第76回深夜句会(8/21) [俳句]

このところなぜか、会場の喫茶店が混みあっていて広い席に座ることができない。それほど人気の店とも思えない風情(失礼)なのだが、煙草が吸えるということで集まってくるお客さんが多いのだろうか。

(選句用紙から)

パンケーキ食ふに行列秋うらら

季題「秋麗」で一応秋。一応、とは、秋の季題として確立していると言い切れないので。
暑くもなく、寒くもない秋晴れの日に、店の前に行列ができている。何の店かといえばパンケーキの店だという。パンケーキを食べるのに行列つくるのか、と思いながらも、その行列にも店にもやわらかく秋の日があたっている風景を好ましく感じている。パンケーキという題材が、生命をつなぐのに不可欠なものでなく、また、どちらかといえば女性が好むものであることも効いている。これが「スヰトンを食ふに」とか「定食を食ふに」「ラーメンを食ふに」だったら、こうはいかないように思う。

饒舌のめづらしきかな夕涼み

季題「夕涼み」で夏。
うちわを片手に夕涼みをしている相方が、いつもは無口なのにきょうは「めずらしく」饒舌で、話もはずんでいることだ、と面白がっている。このあとに花火とか舟遊びとか、楽しいことが待っているのかもしれない。夕暮れとともに涼しくなってほっとする心の動きと、相方の時ならぬ饒舌ぶりがシンクロしているようなしていないような、そんな感じが楽しい。

(句帳から)

打水のまだらに乾く小路かな
白いビル灰色のビル朝曇
次の駅から突然に夕立に
駅ごとに乗客が減り秋涼し

本試験が大荒れ [皿回し]

8月の第1週に本試験が終わると、その週の週末には予備校の解答解説会があって、それから皿回し受験生の夏休みが始まるわけだけど、ことしは簿記論と財務諸表論と法人税法の試験がえらく難しかったらしい。特に法人税法の問題が大層理不尽なものだったようで、某掲示板は大荒れになっている。

(ここから引用開始)
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965 :一般に公正妥当と認められた名無しさん:2014/08/07(木) 11:08:14.19 ID:esRSJZHr

長いかきこみですみません。感情が押さえられない。
こんなに人を憎い、憎くて…復讐したいと思った人はいない。
今会社から出て気晴らしに遊びに来てるです。(税理士事務所勤務)
午前中で早退&来週まで休みさせてくれる。本当に所長や先輩には感謝。
休んで気分転換してこいだって。もちろん欠勤扱いではない。
○○(←やぶ注:問題を作成する試験委員の名)の事務所の人はかわいそう。

本試験が終わって、出勤した朝のこと、
税務署OBと官報合格の税理士2人に問題見せて解答用紙の形式を紙に書いて見せた
「この○○って税理士は自分が受験生だったころこんな問題できたのか?
 これって○○が税理士になった後に得た知識を受験生に聞いてるよね?(長期定じゅん保険とか)
 資料とびとび、いらない情報が満載、何をやらせたいのか…、二度手間解答用紙&別4…
 資料の読取問題…ほんとに実務家なのか?法人税法のこと聞いてるの?あ−為替とか外国子会社ね、あと配当と法人税等か…聞いてるといえば聞いてるが、それが伝わらないよ。
 同じ実務家として、恥ずかしい。これじゃ税法の試験ではない。試験委員がどれほどのものか知らないが、この人的には、これ知ってる?知らないよね〜。俺知ってる。すごいだろ。って感じがして、
 本当に試験委員としての資格ない。この人を選んだお役所にも問題がある。試験問題、解答用紙のチェックしてから、本試験してんの?同じ税理士として受験生のみんなに申し訳ない。こんな試験を実施する国税庁なんかに惑わされる受験生がかわいそうだ。こんなことをしていたら税理士の将来はダメになる。」
 と言われて…ほんと人前で泣いた。
 家族にも会社にも友人にも迷惑かけて一年間必死にやってきて…そんな思いがこみ上げてきて…。
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(引用終了)

まぁ普通だったら「なに泣き言いってんの」という話なんだけど、何年も本試験受けてると、これ読んで自分のことのようにツラく感じられるのですね。他にも

「これ、明日までに模範解答出るのか?」
「本試験はな、自由研究の発表会やないんよ」
「まじ車の仮免試験でヘリコプターの操縦しろって言われたみたいでした」

などという書き込みもあり、思わず笑ってしまう。


中沢けい『楽隊のうさぎ』(新潮文庫、2014)【ネタバレ注意】 [本と雑誌]

楽隊のうさぎ.jpg

中沢けいが青春小説を書いたら、やはり中沢けい風味の青春小説になる。
ここで中沢けい風味とは何かといえば、
・こころの動きを描くために使われる喩え(ここでは「左官屋」とか「うさぎ」など)が、いくぶんファンタジーの色合いをともなっていること
・視点や時点の切り替えが不思議なタイミングで用いられていること。特に、主人公の視点と著者(語り手)の視点がシームレスに転換している(もっといえば、一体化している)こと
の2点があげられ、こうした風味が、とかくすいすい流れてしまいがちなストーリーを引きとどめ陰影をつける効果をあげていて、好ましく感じられる。
著者の視点が主人公の行動について書いた部分が「○○はできたが、××はできない」という説明口調に感じられる点が若干気になるが、それは、この小説を獲得の物語として考えたときに、それぞれの箇所で何が獲得でき、何が獲得できなかったかという点に重きを置いているということなのだろう。

回収されていない伏線がまだたくさんあるので、続編を楽しみに待ちたい。

蛇足だが、中沢さんは「中学生ってどんな年代なのか」に強い関心を持っているようで、『大人になるヒント』(メディアパル、2008)という著作もある。そこでは中学生を、「世界と出会う、つまり自分と異なる視点を獲得する年代」(こうまとめてしまうと、なんだかありきたりだが…)と捉えているように思われ、それは本書とも共通する視点になっている。

同じ中学1年生を描いた森絵都『クラスメイツ(上・下)』(偕成社、2014)のストーリーの巧みさと比べると、こちらは少し硬質な物語かもしれない。むろん、どちらもそれでよいのである。

番町句会(7/11) [俳句]

(選句用紙から)

冷汁の具に一村のこれやこの

季題「冷汁」で夏。句評のなかで解説があったように、「冷汁」には、ゆうべのおつゆの残りを冷蔵庫に入れてある、という第一のかたちと、宮崎県の郷土料理(?)たる冷汁という第二のかたちの両方があるのだけど、ここでいう冷汁は、後者つまり工業製品でも特定の商品でもない冷汁であるからして、村ごとにあるいは家庭ごとにあんな冷汁とかこんな冷汁があるのだろうけど、「宮崎県○○村」の冷汁、と銘打って供されているのであろう。
下五の「これやこの」は、「これがまあ」とか「これこそが」というような意味になので、その前段として、冷汁をめぐるさまざまな惹句や講釈があることになるのだけど、それを面白がりつつも、村おこしとか一村一品と称するムーブメントの中であらゆることに講釈やプロモーションがつきまとうことへの軽い揶揄が感じられる。

布袋草邪険にされるほど増えて

夏の水面に淡い紫の花を咲かせる布袋草(ホテイアオイ)って、えらい勢いで繁茂するので「侵略的外来種」に指定されているのだそうだ。もともと観賞用に日本に持ち込まれたのに、増えすぎたら有害呼ばわりってのも随分な話だが、「邪険にされるほど」がそのあたりの事情をよく言い表している。しかし待てよ。ここは「邪険にされるほどまでに」と思って読んでいたが、これは「邪険にされればされるほど」なのだろうか。いずれにせよ、理屈をいいながら理屈に陥らず、楽しめる一句。
下五「増えて」はどうだろうか。もう一度目の前の布袋草に視点を戻すねらいなのだけど、「布袋草」のあとが切字になっていないので、あまり大きな効果をあげているように感じられない。

(句帳から)

まくなぎを引き連れてくる漢かな
色見本撒き散らしたるキャンプかな
遠花火基地は独立記念日や  →独立記念日
楽屋口出待ちのありて梅雨の月 →出待ちのをりて

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