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キラキラネームを笑えない [俳句]

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久しぶりに柏へ行ってびっくり。
スカイツリーラインもどうかと思うけど、アーバンパークラインって一体何よ?

何が困るって、この名前では、どこを走る路線なのか全然わからないではないですか。
(この沿線がアーバンかどうか、という不毛な話には興味がないので念のため)

また、何の目的でそういう名前をつけるのかわからない(例えば、「野田線」ではこんな不都合があるとか、こういう名前をつけるとこういう効果が見込まれるとか、具体的な目的があるのだろうか)。ちなみにプレスリリースには「沿線価値の向上をめざします」と書かれているのだけど、そもそも「沿線価値の向上」ってどういうことなのか不明だし、仮に「沿線価値の向上」を無理やり定義したとしても、この名前が沿線価値の向上をもたらす理由、つまり「野田線」では向上しないが「アーバンパークライン」だと向上する理由が不明。

もしJR東日本が「“沿線価値の向上”をめざして中央線東京・高尾間の愛称を『アーバンパークライン』と命名します。」とやったら、武蔵野市議会とか杉並区議会あたりが「ふざけんな!」と言い出すと思うのだけど。言い出さないか。

(以下は全くの想像で書いています)

これらはみな、いい年をしたオトナが何人も集まって考えた結果なんだよね?
東武鉄道は大きな会社なので、担当者や担当部署の独断で新しい名前をつけるなんてことはできないと思うのですね。取締役会にかけるか、最低でも担当役員の決裁を得ていると思うのだけど、そうすると、それらの会議や打ち合わせの過程で、この提案について相当の議論が交わされたはず。いったいどんな発言が交わされたのだろう。「恥ずかしいからやめよう」とか発言した従業員はいなかったのだろうか。

百歩譲って、現場にいる従業員つまり運転士や駅員がそういう名前を使いたくて提案したのなら、まぁしょうがないかと思う。しかし、そうは思えないのですね。なぜって、自分が駅の案内係や車掌だったら、毎日何十回も声に出す名前は「短く」「発音しやすく」「実体をイメージしやすい」ほうがありがたいから。で、ボトムアップでないとすると、こういう話を持ち込んでくるのは、広告代理店や不動産屋ではないかと。いゃ彼らは彼らで商売なんだからどんな提案だってすると思うのだけど、それに乗るかどうかは見識の問題でしょう。こっぱずかしいというか、尻のあたりがむずむずするような感じがないのかな?それとも、広告代理店のいいなり?

いや、おかしいのは東武鉄道だけではない。

えちごトキめき鉄道妙高はねうまラインとか…
道南いさりび鉄道とか…

固有名詞の夜露死苦化&マンションポエム化はとどまるところを知らない感じ。固有性や生活感がないものを尊ぶというのはどういうメンタリティなのだろう。

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俳句の中心が季題にあると考える自分にとっては、その季題のその季題たるゆえんを考えることと俳句を詠むことはほとんど同義であって、そうするとその季題に固有の性質とか名称というのはとても大切なものだ。また、宮坂静生さんの「地貌論」にしても、その前提にあるのは、「地域に根ざした習俗や自然現象」を尊び、追究していくための前提として、自分にまだなじみのない固有性について共感しようと努力する、ということがあるのだと思う。自分の知っている祭礼は全国民が知っていて当然だが、自分の知らない祭礼は顧慮に値しないなどという態度がとれるはずはない。つまり、「野田線の野田ってどこよ?」というのは固有性への入口、最初の手がかりなのだ。

「アーバンパークライン」で固有性を排除してしまったら、地貌どころではない。ネット上で揶揄されている「ソイソースライン」のほうがまだマシだと思う。いや本当に。