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第95回深夜句会(3/10) [俳句]

あと5回で通算100回!

(選句用紙から)

春雨や電柱の根を黒うせり

沛然と降る夏の雨だったら、電柱の根が濡れているどころではないだろう。春の弱い雨が、一様にではなく、電柱の根元の、舗装道路に近いあたりを黒く濡らしている。誰もが見ている風景なのだけど、それを切り取ってくるかどうかは、眼前のたくさんのものを虚心坦懐に見据えられるかどうかにかかっている。

地虫出づ天然痘の絶えし世に

季題「地虫出づ」で春。「地虫穴を出づ」「地虫出づ」「蟻穴を出づ」「地虫」はいずれも啓蟄の傍題とされる。ちなみに「地虫鳴く」は秋。
虚子に「蛇穴を出て見れば周の天下なり」の句があるが(『五百句』明治31年)、地中で冬眠していた虫や蛇が春になって外に出てきたら、世界は一変していた、という点では共通するものがある。この句の面白いところは、一応根絶されたことになっている天然痘を詠むことで、この地虫に禍々しい役割−もう一度天然痘を運んできた−を与え、ちょっとホラー映画の冒頭のような読み方もできるところではないだろうか。

(句帳から)

いちめんのキャベツ畑に春の雪
春の霧濃し駅員のアナウンス
駅裏の英語学校春寒し