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第117回深夜句会(2/22) [俳句]

(選句用紙から)

料峭の公園に人来ては去る

季題「料峭」で早春。春寒しとも。真冬でなく春なので遊びに来る子もいるのだけど、ほんとうに暖かいわけではないので、すぐまたいなくなってしまう、と書くと理屈に陥ってしまうのだけど、ここでは、ずっとその公園(または隣接した場所)にいる作者の視点―なぜそこにいるかは示されていないのだけど―を好ましく感じる。

町騒の内にうするる薄氷

季題「薄氷」で春。薄氷が「うするる」ってどうなの、と言われそうだが、町のさまざまな喧騒のなかで、顧みられることもなく形を消していく薄氷を描いて過不足ない。


(句帳から)

比良八荒二両の電車往けるかな
畦道の先耕してゐるにほひ
 


 
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池澤春菜が選ぶ池澤夏樹の10冊(『本の雑誌』417号) [本と雑誌]

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池澤春菜さんは以前から『本の雑誌』誌に書評を寄せられていたので、いずれ実現すればいいと思っていた“夢の企画”がついに登場。池澤夏樹ファン、池澤春菜ファン、ついでに福永武彦ファンもただちに書店に走るべし。

まず、池澤夏樹のたくさんの著作(翻訳や編集を含めて)をよく読んでおられることに驚く。ここで10冊全部を紹介するとネタバレになってしまうのでやめておくけれども、ひとつだけ紹介すれば、数ある著作から「最も長い河に関する省察」を選んでくれたことに感謝。あれはバックパッカー必読の一冊だと思う(36年前の本で、現在は入手不能だが、同じ版元の『池澤夏樹詩集成』で読むことができる)し、あの中に入っている「午後の歌」には幼いころの池澤春菜さんが詠まれている。

ちなみに藪柑子が選ぶ池澤夏樹の10冊は、以下のとおり。特に順位はない。
『池澤夏樹詩集成』(書誌山田、1996)
『タマリンドの木』(文藝春秋、1991)
『南鳥島特別航路』(日本交通公社、1991)
『むくどり通信』(朝日新聞社、1994)
『ハワイイ紀行』(新潮社、1996)
『パレオマニア 大英博物館からの13の旅』(集英社、2004)
『異国の客』(集英社、2005)
『風神帖』(みすず書房、2008)
『骨は珊瑚、眼は真珠』(文藝春秋、1998)
『言葉の流星群』(角川書店、2003)

本を読む時間がほしい。





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第116回深夜句会(1/18) [俳句]

(選句用紙から)

鍵盤の沈めば響く冬館

季題は一応「冬館」で冬。「夏館」ほど定着しているのか微妙な季題だが、冬らしく設えたり備えたりした邸宅と読むのだろう。その冬館にオルガンかチェンバロかピアノか、鍵盤楽器が備え置かれていて、それが弾かれると、館内によく響く。室内に充満している冬の空気感とか、固い床板の冷たい感じとかが「響く」から連想され、そうすると冬館自体も、たとえば牧師館のような建物であろうかと想像される。楽器を「弾く」といわず、鍵盤が「沈む」としたところがよいのだろう。ただ、「沈めば」だと自然に沈んだようにも読める。くどく言えば鍵盤を「沈めたので」となるところか。


雨粒の細かく砕け寒の雨

季題「寒の雨」で冬。雨粒が細かく砕けているのは当たり前のように読めてしまいがちだが、この句では霧雨のような細かい雨をさしているのではないかと。厳寒の日々に降る雨ではあっても、必ずしも大粒でたたきつけるような雨ばかりでなく、細かく静かに降る雨もまた「寒の雨」である。


味噌汁に冬菜の色の濃くありて

季題「冬菜」で冬。味噌汁の鍋に入っている冬菜(白菜、小松菜、壬生菜など)が色濃く感じられる。万物枯れ果てたこの時季に、ふと目に留まった生命感。


(句帳から)

風花や湖にある船着場


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