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番町句会(4/12) [俳句]

締切ギリギリに到着してみると、きょうのお題は「復活祭」。
さて困った。

(選句用紙から)

復活祭の御堂やいまも畳敷

明治時代に建てられた礼拝堂なのか、それとも江戸時代の「隠れキリシタン」のお堂なのだろうか。「いまも」お堂の中が畳敷きだという、その「いまも」のあたりに歴史や事情が感じられるところ。畳に正座して礼拝をとりおこなうことって、私は経験したことがないのだけど、どんな感じがするものだろうか。

船で来る復活祭の神父かな

長崎の離島の教会とかでしょうか。ここで「船」がどんな船かは描かれていないので、漁船に便乗して渡ってきていると読んでもよいし(面白い)、観光客や転勤者といっしょにフェリーでやってくると読んでもよい(これも面白い)のだけど、「神父が島にやってくる」というシチュエーション自体が、そこに根付いた信徒さんの文化(しかし神父が島の教会専従ではないことからして、それほど巨大な島ではなさそうな前提も)を想像させる。

シャンパンの瓶を重しに花筵

季題「花筵」で春。お花見の敷物が風で飛ばないように、そのへんの石を置いたり、缶ビールを置いたりするのだけど、シャンパンの瓶を置いたというのですね。理屈をいえば、シャンパンの瓶はガス圧に耐える分だけワインボトルより厚くて重いので、重しに向いているのだけど、そういうことをいちいち言わなくても、オッサンの花見でないことがうかがわれるわけで、おつまみも洒落たものだったりするのだろう。いいですね。

(句帳から)

街の灯を映して春の夜の雲
ママ友の送別会の花見かな
椿寿忌や左手頬にあてたまま
花冷や水銀灯の青光り
イースター・エッグ遺され書類棚

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おおうちそのよ「歩くはやさで旅したい」(旅行人、2018) [本と雑誌]

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これが「どのような旅の本なのか」と問われると、説明が難しい。
同じ場所に同じカメラを構えれば同じ写真が撮れるとは限らないのと同様、同じ風景を見ても、この作者の目には、このように映るのですね。俳句という文芸は、感じ取る力と言葉に置き換える力の両方が必要なわけだけど、このように感じ取る目を持っていること自体が、稀有な感じ。

本書は、旅の具体的な情報を求めて読む本でもなく、紀行文やエッセイとも違う。しいて言えば、旅とは何か、について、直接論じることなく示唆している本というべきだろうか。蔵前仁一さんの「ホテルアジアの眠れない夜」とか田中真知さんの「孤独な鳥はやさしく歌う」とはまた違った、旅することが人間にもたらす何かを考える上で重要な気づきが得られる名著。「旅行人」連載時に楽しみにしていたコーナーでもあり、腰巻きで蔵前さんが「どうしてもこの本を出したかった」と書いていることに深く共感する。



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第131回深夜句会(4/11) [俳句]

急に寒さがぶり返して、立春とはいわないまでも、春浅い2月中旬のような感じ。

(選句用紙から)

犬をらぬ犬小屋のあり花は葉に

季題「葉桜」で春。犬は散歩に出ているのか、もうこの家にいないのか。後者ととりたい。もう主のいない犬小屋は、それ自体が季節感をもたらすものではないけど、そこへ「葉桜」で、庭に植わっているのか街路樹なのかはわからないが、花から葉桜になって、庭が、つまり犬小屋の周囲が、少し「暗くなってきた」ことと、犬がもういないことが響きあっているように感じられる。春愁という季題にも通じる感じ。

納品を終えて仰げる桜かな

「納品を終えて」がいい。
「納品」であって「納入」じゃないので、形があって、かつ、そんなに大きくないものなのだろう。事務機器とか食料品とかを小さな会社に納品して、そこから外に出たところで、道路に桜が咲いている、というような風景。ものすごく大きなビルだと、納品は納品だけど、納品を終えて外に出るまで時間がかかるし、やっと外に出ても、ビルのほうがずっと大きいから、この句のような「仰ぐ」感じになかなかならない。
また、個人の住居だと、わざわざ「納品」と言うこと自体が大げさな気がする。


紺色の肩の花屑触れもせず

季題「花屑」で春。紺色の、は花屑にかかるはずがないので、肩にかかるとすると「紺色の肩」って何だとなるのだけど、ブレザーか、紺色のワークシャツなのだろう。で、その恰好で桜の下を通りすぎた人の、肩のあたりにふと花片が落ちて止まった。しかしその人は、その花片に気づいたのか気づいてないのか、それに触れもせず歩み去ってしまった。なんでもないことのようだが、そこに詩情があるのですね。
また、ここで「触れもせず」を、「隣で一緒にいた自分」のこととして鑑賞すると、一句の感じはぐっとロマンティックなものになる。

(句帳から)

花筏善福寺川蛇行して

 
  
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